５月５日。 　大学一年生になった啓太と、地元で就職するからと言って、啓太のそばから離れた和希。 　（和啓ルートではなくノーマルルートなので。つまり二人は普通の友達関係のまま） 　だけどその年の５月５日には啓太にちゃんとプレゼントを贈ったり、電話をくれた和希。 「和希!?　久しぶりだな」 「元気だったか啓太」 「勿論！　あ、プレゼントありがとうな！　まさか誕生日当日にプレゼントを贈ってくれるなんて思わなかったよ」 「今年は……直接渡せないからな」 「就職してどうなんだよ。和希、いろいろと忙しいんじゃないのか？」 「まあな」 「でも今度ちゃんと会いたいな。こんな電話じゃなくてさ」 「……そうだな。また今度な」 　たわいのない話をして電話を切った翌日。 　そうだ、６月９日の和希の誕生日になにがほしいか聞くのを忘れた！と、和希に電話をした啓太。 　ところが――。 『この電話は現在使われておりません。番号をお確かめの上、もう一度……』 　そしてその日以降、一切和希と連絡が取れなくなってしまうのだった。 「……どうして、どうしてだよ和希っ！！」 「和希様。新しい携帯が届きました。ですが…よろしいのですか？」 「…もう俺は、あの子には必要のない人間だからな。啓太の前には新しい世界がすでに広がっている…俺のことなんか、そのうち思い出すこともなくなるさ」 「ベルリバティ在校時の連絡先も架空の住所って、そんな……。だって和希は俺の隣にいつもいたのに」 「あの色、啓太に似合いそうだな……って、馬鹿だな。もう啓太の誕生日プレゼントを選ぶこともないのにな」 　和希にとってずっと特別だった５月５日が、その年、普通の日に変わる――。 「啓太。誕生日おめでとう。もう二度と会えなくても、俺はずっとおまえの幸せを願ってるよ」 　……という感じの啓太の誕生日話が浮かびました。（啓太の誕生日話をさらにあれこれ考えていたら、今までとはまた違ったそんな話が浮かんだのでした）　勿論ちゃんと和啓になっていくんですが。 　思えばラブラブの和啓誕生日話しか書いてこなかったような？　二人がくっつく前（啓太なんか自分の気持ちを自覚する前）の和啓もいいですね。 「――啓、太……」 「……本当は、和希の誕生日に驚かしてやろうと思ったんだけど、俺が、そこまで待てなかった。……ずっとずっと、探していたんだからな」 「どうして、ここに…」 「そんなのきまってるだろ。今日は俺の誕生日だからな、プレゼントをもらいにきたんだ。俺が一番ほしくてこの一年間ずっと探し続けていたものを。和希、俺は世界中でここにしかない、なによりも大切な遠藤和希っていうプレゼントがほしいんだ。勿論、くれるだろ……？」 「……啓太…」 「…和希が、好きなんだ。そのことにようやく気づいたんだ。和希と連絡が取れなくなってから自覚するなんて自分でも鈍感すぎると思うけど、この一年、本当に和希にずっと会いたかった…っ！」 「…っ啓太――」 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２００９０６０９