前の学校の友達と会いました 「なあなあ、啓太。ベルリバティには優秀な生徒が集まっているだけあって、ちょっと変わったやつも多いんだろうな」 「いろいろ聞くもんな、ベルリバティのうわさ。才能や実力の面でこれぐらいすごいやつもいる！ってのも聞くけど、なんかいろいろと…なあ」 「ん〜、まあ確かにちょっと変わってる人は多いかな。でも俺、ベルリバティに行って一つ学んだことがあるんだ」 「なんだよ、それ」 「ベルリバティには一風変わってる人も多いけど……でもその中で一番普通そうに見えたやつが一番変わってるってことが、よくわかったよ……」（遠い目） 「そ、そうか…」 「変わってるといえば、やっぱりあれか、外見だけではけして高校生に見えないオヤジくさいやつもいるわけか？」 「ああ、いそうだよな。厳つい感じの、どう見ても歳くってるようにしか見えないやつ」 「生徒はそうでもないけど、中学生に見えない先生とかいるよ。あと……どう見ても高校生にしか見えない学園経営者とかね……」 「ベルリバティには変わった理由で選ばれた生徒もいるんだろうな。一般的な学力やスポーツだけじゃなくってさ」 「啓太が知ってる、一番変わってた理由はなんだ？　ギャンブルとか？」 「うーん、一番驚いたのは……編み物、かな…」 「……ベルリバティには確か女子はいないはずだよな…」 「編み物……」 「や、やっぱベルリバティって変わってるやつが多いんだな」 「う、うん……」（全部一人のことなんだけどね…） 「なんか最初は啓太がベルリバティに行けてうらやましいなあと思ったけど、だんだんそう思わなくなってきた。やっぱ俺らには普通の学校がいいのかな」 「そうだな。そんなやつらに囲まれて、いろいろ気苦労も多そうだもんな」 「でもやっぱり俺はベルリバティに入れてよかったと思ってるよ。変わっている人もいるけど、かっこいい人も多いんだ。男が男に惚れたくなる気持ちってわかるだろ。才能とか能力だけでなく、器の広さとか、人間性とか……うん、かっこいい人も多いよ。特に……っていや、実例はいいよなっ」 「啓太、向こうでうまくやってるんだな」 「失敗もあるけどそれなりにね。俺も頑張っているし、いろいろ手助けしてくれるやつもいるし。――楽しいよ」 　脳裏に浮かぶ一人の人間。なんだかんだあっても、この楽しさは彼がくれたもの。 「……」（啓太が楽しそうなのはいいんだけど…） 「……」（なんか啓太、ちょっとやばい方向に行っちゃわないかな。男がかっこいいって…気持ちはわかるけど、ベルリバティは男子校なんだし、啓太ぽーっとなっているように見えるし…いやいや、そんなのは考えすぎだよなっ。……多分…） 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　20080316