いつか、ちゃんと 「ねえねえ、お兄ちゃん。朋子には、いつかおねえちゃんができるんだよね。お母さんがそう言ってた」 「んー、本当に血のつながった姉妹じゃないけどな。でもそうだな、朋子がうーんと大きくなったら、かな」 「やったあ！！　朋子楽しみにしてる！　朋子に優しいお姉ちゃんが出来るといいなあ」 「まだまだ先の話だけどな」 　　　　　　＊　　　　　　　　＊　　　　　　　　＊ 「……って話を私が小学生のときにしたんだよね。覚えてる？　お兄ちゃん」 「そうだっけ？」 「そうだよ〜。で、で、あれから何年も経ったけど、お兄ちゃん一度も朋子のお姉ちゃんになるかもしれない人、紹介してくれないんだもん。ねえねえ、早く紹介してよ。もう社会人になったお兄ちゃんのことだから、ほんとはいるんでしょ？　朋子に隠してるだけなんだよね？」 「あ〜……。ごめん、朋子。俺、か、甲斐性なくてさ、そんな話はこの先もずっとないから…。ほんとにごめんな。昔の話は忘れてくれ」 「えええええ〜。なんでなんで」 「だから……ごめん。そこは本当にごめん。……いつかまたその話するから」 「もう〜」 　いつかきっと。 　いっしょに暮らしたい人がいると、おまえに話すから。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　20080414 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「傷」の元になった話