（トレカのスペシャルカード…和希たちが正装しているイラストを見ての突発的な妄想です。 　財界だかどこかのパーティー会場にて。正装した和希と啓太。離れたところには王様たちもいます） 「か、和希。ごめん･･･」 「大丈夫だよ啓太。落ち着いて。俺がついているからさ」 「和希･･･。やっぱ和希は慣れてるんだな」 「そんなことないよ。俺もどきどきしてる」 「和希も!?」 「ああ。だって、そんな格好をした啓太、初めて見たからな。見るたびに目を奪われて、どきどきするよ」 「それは、い、意味が違うだろ」 「啓太は？　俺を見て、どきどきしたりする？　それとも向こうにいる王様たちのほうがかっこよく見えるかな？」 「王様たちも本当にかっこいいけど･･･でも俺は和希もすごくかっこいいって思うよ。その格好和希にすごく似合ってて、この場の雰囲気も和希にあってて、その･･･和希はやっぱり、こういう世界が似合うんだなって思う。本当は和希、この世界の住人なんだもんな。俺が普段ベルリバティで和希の隣にいるほうがよほど不思議な･･････和希？」 「――この世界の住人て、なに？」 「えっ!?　だ、だから」 「啓太は俺と啓太は住む世界が違うって言いたいのか？　俺が啓太の隣りにいるのは違和感を感じる？」 「ち、違う。そうじゃないけど」 「そうじゃなくないだろ。啓太が言いたいことはそういうことだろ？」 「和希･･･。だって今の和希すごくかっこよくて、すごく大人に見えて、普段の和希とは全然違うからさ。考えてみれば和希にとっては今のこの場所のほうが当たり前の場所で、ベルリバティで制服着てる和希のほうが『違う』んだなって感じてさ」 「俺は俺だろ？　それとも啓太から見たら違うって思うのか？」 「同じだよ。同じだけど」 「･･････話にならないな」 「和希！」 「和希、ちょっと待てよ。どこに行くんだよ」 「別に」 「別にって顔じゃないだろ。俺の言葉で気を悪くさせたのなら謝るよ。ただとにかく今の和希がかっこよすぎて、すごく似合ってて、だからついそんなふうに思っちゃっただけなんだ」 「･･････じゃあ、俺がこの格好じゃなかったら？」 「え？」 「啓太、ちゃんといつもの俺として見てくれるか？　啓太の隣にいても違和感を感じない人間として」 「和希？　･･･わっ！　いきなり手をひっぱるなよ、バランスくず･･･」 「部屋、行こう」 「･･････っ」 「俺に割り当てられてる部屋に今から行こう。そこで証明してやるよ。どんな格好してても、どんな場所にいても、俺は俺だってこと。啓太と同じ世界に住み、啓太の隣にふさわしい人間だって、ちゃんと教えてやるよ」 「い、いいよっ。わかったから。そんなのは場に呑まれた俺の錯覚であって、和希は和希だってこと、ちゃんとわかったから」 「啓太は本当にはわかってないだろ。いいから行こう」 「もうわかったって。ここでいきなり俺たちがいなくなったら、王様や西園寺さんたち、不思議に思うだろ」 「･･･ふうん。啓太は王様たちのほうが気になるんだ？」 「そんなわけじゃ･･･っ」 「これはますます部屋に連れて行かないとな」 「和希･･･」 「･･･なーんてな。本当はそんなに怒ってないし、気にしてもいないよ」 「和希!?」 「ただちょっと、抜け出す口実に利用しただけなんだ。だってほんとにその格好の啓太は俺にとって新鮮で、他の人間の目に触れさせずに独り占めしたいって思わせるからさ。それに･･････その格好の啓太を俺の手で脱がせていって、俺のよく知る感じやすいいつもの啓太に戻してみたいって思うんだ」 「な、なに言ってるんだよ」 「いつもと違うかわいい格好だからこそ、よりいっそう乱してみたいって思うんだ。だから、な、つきあってくれよ啓太」 「･･･････和希･･･」 「部屋に行ったら、俺と啓太の間にはなんの隔たりも距離もないってこと、啓太にとってわかりやすい方法で理解させてやるからさ」