もしも


「なあ和希」
「ん？」
「和希は情報漏洩問題があったから俺をベルリバティに呼んでくれたけど、もし俺がすごく性格の悪い人間だったら、とかって考えなかったのかよ」
「え？」
「もし俺が性格が悪くて、呼んでくれた和希に迷惑をかけるやつになってたかもってことは考えなかったのか」
「考えなかったよ」
「どうして。あ、もしかして事前に俺のことを調べてたから？　素行調査みたいなことしてから呼ぶって決めた？」
「そんなことしないよ。する必要もないし」
「なんで」
「だって啓太は啓太だから。俺の知っている啓太なら、そのまままっすぐ育っているに違いないって確信してたからさ」
「夢見すぎだぞ和希。あのまま育つわけないじゃないか」
「実際育っているだろ」
「違う。俺はあのときの子供の俺とは違うよ」
「・・・確かにな。あのころの啓太にはなかったものがいろいろあるしな」
「そういう意味じゃなくて！　･･･俺は変わったと思うよ。いろいろとずるいことも覚えたし、醜い感情だって･･････」
「啓太はかわってないよ」

　全部くるむようにして。
　啓太は啓太。