誓 約 そこは、真っ暗な空間だった。 真っ暗でなにも見えなくて、ただ空気が冷たく澄んでいた。張り詰めたような緊張が感じられるその中に不意に落とされて、空はまばたきを繰り返す。 足元は不安定だが、ほのかな重力がはたらいているようだった。一歩足を進めてみると一瞬足首まで沈んだが、すぐに押し返される感覚があった。 記憶にあるその感覚に、空は改めて周りを見渡す。 真っ暗だった空間に、少しずつ薄い明るさがともっていった。あるいは暗闇に、ようやく目が慣れてきたのかもしれなかった。身を取り囲むのは薄い霧で、空はここが以前訪れたことがある夜の領域――もしくはそこに酷似した――場所だということを知った。 「･･･夜･･･？」 呼びかけても、答えはなかった。夜どころか、どこにも、なんの気配も感じ取れない。 この場所に、空はたった一人きりだった。 だがそれでも、不思議と恐怖や孤独感は感じなかった。空は状況を変えるために薄闇の中を歩き出した。 やがて、いくつもの扉が空中に浮かんでいる場所に出た。一つ一つの扉が明かりで照らし出されているかのような眩しさで目に飛び込んでくる。 ここが夜のテリトリーであるならば、それらはすべて思い出の扉であるはずだということを、空は思い出す。いつだったか夜が、実際にも見せてくれたのだ。子供のころ体験した恐怖と驚きと安心とに包まれた優しい思い出。 空はその中の一つに近づいていった。扉はどれも同じ扉だったが、あのとき夜に見せられた思い出の扉はこれだという確信があった。 扉の中からやわらかい誰かの気配が漂ってくるようで、空はそれに惹かれ、扉に触れた。この向こう側にあのときの思い出がある･･･そう感じるだけで、空の心にほのかなあたたかさがうまれた。 だがその直後に空はぎくりと身を固くした。今触れた扉のさらに奥に、いくつもの錠前と鎖で覆われた、頑丈な鉄の扉を見つけたからだ。自分が開けようとしたとき、夜に止められた扉。あの扉を開ければ、間違いなく壊れるとそう言って。 「･･････っ」 空は息を呑んだ。あのときのように、好奇心で扉を開けようとする気持ちはなくなっていた。あのときよりもさらに圧倒されるほどの恐怖の感情に包まれる。 扉の奥にあるのは醜悪ななにか。根源的に自分の存在を震わせるもの。自分の精神を破壊するほどの――。 巨大な存在感でもって、その扉が空に迫ってくるかのようだった。開けたくはないとそう思っているのに、扉に手をかけさせ、中に取り込もうとする重力みたいなものが鉄の扉からは感じられた。空は優しい思い出がある扉のノブにしがみつくと、その重力に引かれないように自分で耐えた。迂闊に手を離してしまったら、あの扉に飲み込まれてしまいそうだった。 パシン･･･パシン･･･と、鉄の扉の鎖や錠前が壊れていった。何にも触れられていないのに、簡単に壊れ、はずされていく。 空は目を見開いた。あんなにたくさんあった鎖や鍵が瞬く間に壊され、扉を自由なものにしようとしていた。 そうして、最後の鎖がはずれた。 「･･･よせっ！ 開くな！」 空は必死の思いで叫んだが、空の叫びも虚しく、その目の前で。 鉄の扉が、ゆっくりと開いた。 「―――――っっっ」 少年の口から、絶叫がほとばしった。 「羽柴くん!? 羽柴くん!? 大丈夫ですか!?」 激しく体を揺らされて、空は閉じていたまぶたを持ち上げた。薄闇とは違う陽光の中に、こちらを真剣に見つめてくる柔和な顔立ちの、保健医である青年の顔が視界に飛び込んできた。 「あ･･･」 「うなされていましたけど･･･大丈夫ですか？」 すぐそばから七海に顔をのぞきこまれて、ようやく空は息をついた。ここは、あの暗い場所ではないのだ。鉄の扉もここには存在しない。 「羽柴くん？」 「悪りぃ･･･。七海ちゃんに心配かけたみてえだな。ごめん、気にすんなよ。ちょっと夢見が悪かっただけだからさ」 ことさら明るくそう言って、空は半身を起こした。今日は確か自分にしては珍しく体調がよくなくて、朝から保健室の世話になっていたのだと思い出す。起き上がると制服の下のシャツが、汗で張りついているのがわかった。 「夢、ですか？ それはどんな夢だったんですか？」 七海を安心させるための言葉に、当の七海は安心できなかったらしい。むしろより真剣な顔がこちらを見返していた。空は思わず苦笑をもらす。 「そんな本格的に怖い夢でもねえよ。確か赤点とって水都に呼び出された夢だったかな。って言っても、オレからすればすっげえ怖い夢だけどな！」 「そうですか。だったらいいんですけど･･･」 「それより七海ちゃん、今何時･･･」 「じゃあ『開くな』っていうのは、数学教諭室のドアのことなんですね」 「――」 空の声にかぶせて七海が幾分強い口調で言った。空は一瞬言葉を失う。 「そう･･･だよ。そうそう、確かそんな夢だった。なに七海ちゃん。オレもしかして、寝言でなんか変なこと言ってた？」 「羽柴くん、前に羽柴くんの心の中にある扉のことについて、少し話してくれたことがありましたよね」 おどけて言ってみせた空に対して、さらに七海が踏み込むように告げた。空の話を受け入れているようでその実、的確に真実をついてくる七海の言質に、空は一転して表情を変えた。 「･･･だからなんだよ。七海ちゃん、オレが見た夢のことについて、もっと詳しいことが知りたいわけ？」 「ええ･･･興味がありますから」 「興味ねえ。･･･やめといたほうがいいんじゃねえの？ オレ今、なにを口走るかわからねえぜ。七海ちゃん、オレの話を聞く覚悟があるわけ？ 生半可な好奇心で聞かないほうがいいと思うけど」 「･･･興味という言葉を持ち出したことは謝ります。すみませんでした。ただ羽柴くんがあんなふうにうなされていた理由を、ぜひ知りたいと思ったんです」 「ふ〜ん。やっぱ保健のセンセイとしては生徒の精神状態のことも気になるんだ？ 七海ちゃんてほんと仕事熱心だよな」 そう言って皮肉げに笑った空に対して、七海は真摯な瞳で答えた。 「仕事だなんて考えていません。私の、プライベートの話でしょう？ だから私に羽柴くんの話を聞き出すような強制権はないんですよ。ただ、知りたいという気持ちをあなたに伝えるだけです」 七海の左手が、無意識のうちに彼自身の右手を固く握り締めていた。そこにかすかに残る震え。 空がうなされていたとき、七海は空を起こそうとして少年の体がかすかに震えていることに気がついてしまったのだ。いつも快活な少年を震えさせるほどの夢。ならば、どうしてもその内容を知りたかった。 「もしかしたら七海ちゃんが聞きたくないことかもしれないぜ。オレだって七海ちゃんを落ち込ませるくらいなら、聞かせたくねえし。やっぱ、お互いのためにこの話はなしってことにしようぜ」 「羽柴くん。私にはもう、聞きたくないことなんて一つもありませんよ。むしろ私が羽柴くんに与えてしまった影響の中の一つなら、やはり進んで聞きたいと思うだけです。――私のことなんか気にしないで、言って？」 話を終わらせようとした空を、七海が再三にわたって促した。空はたちまち顔を歪ませる。だがそれも数秒のことで、やがて少年は、七海ではなく虚空に視線を移した。 意識して七海の目を避けたわけではなかった。それは空の表情が物語っていた。少年はここにはないなにかを見つめながら、あどけない、とすら言えそうなほどの純粋な表情を浮かべていた。喜びも悲しみも怒りも憎しみも、そのおもてにはなにも見いだせなかった。 ただ少年の中で、たった一つだけ生まれ落ちた疑問。 「七海ちゃん。オレが壊れるって、どういうことだと思う？」 壊れる、と、夜はあのときその言葉を使ったのだ。 あの思い出を見たら「苦しむ」ではなく「つらくなる」でもなく、『壊れる』と――。 「夜が、オレに言ったんだ。オレの中には思い出がつまっているらしいたくさんの扉があって、その中の一つにすごく頑丈な鉄の扉があるんだけど、その扉を開けたらオレが壊れるってさ。オレ、その言葉を聞いてから時々一人で考えてた。オレが壊れるような思い出ってなんだろう。壊れたオレって、どんな状態なのかってさ」 虚空のみを見続けたまま、少年は静かに、淡々と続けていく。 「たとえばオレの親のことかなっていうのも考えてみた。オレの親が相沢たちの手によってめちゃくちゃなことをされてさ、あの扉の中にはそんな映像が詰まっているとしたら？ でもそれだったら、多分打倒相沢っていう気持ちが強くなるだけでさ、壊れるまではいかねえと思うんだよな。相沢のことをすげえ恨むだろうけど、でもそれって壊れるっていうのとは違う気がする。じゃあオレ自身に昔、なんかひでえこととかいやなことがあったのかとも考えてみた。オレにはところどころ思い出せねえところがあるから、もしかするとその可能性もある。でも、今のオレはこうして五体満足でちゃんと生きているんだし、過去オレの身になにかがあったとしてもそれはそれだと思うんだ。昔にどんなことがあったとしてもオレ一人だけのことなら、『でも今はこうして無事でいるんだから』って片づけることができると思う。たとえそのことを知った直後には無理でも、きっとだんだんと立ち直れる。過去にどんなことがあったとしても、オレには現在も未来もあるんだからさ」 七海は、空が座っているベッドにのそばに立ち尽くしたまま空の話を聞いていた。少年が語っている事柄に、一言も言葉をさしはさもうとはしなかった。 そんな七海の目の前で、空が上に向けていた瞳をゆっくりと伏せた。その表情に影が差しはじめる。 「でも、オレが別の誰かにひどいことをしていたらどうだろう。自分一人のことなら、最終的にどうなろうとオレ一人のことですむけどさ。だけど昔、オレが誰かを傷つけていたら？ そしてそれを突きつけられたとき、オレは自分自身がすげえ許せなくて、腹立たしくて、自分の存在を抹消したり、めちゃくちゃに傷つけたいって思ったら？ それって『壊れる』ってやつに相当するんじゃねえのかな」 少年の唇にかすかに浮かぶ自嘲的な笑み。 「羽柴くん！」 たまらずに七海が声を上げて空の腕を掴んだ。だが空は七海に腕をつかまれたことすら、気づいていないようだった。 「オレが自分以外の誰かをぼろぼろに傷つけて、それを都合よく忘れているんだとしたら？ 今までのうのうと生きてきたんだとしたら？ そして過去のことに限らずオレには人を傷つけるなにかの要因があって、過去を知ることでそれが再発して再び、オレが大事にしている誰かを傷つけることになったら？ ――クリスの聖水で操られたあのときみたいに、自分で自分を止められなくて平気で人を傷つけたら？ ･･････オレが自分自身でも許せねえくらいにひどいやつだったとしたら、オレはやっぱり、自分で自分を壊すべきかな」 「羽柴くん！ 自分がなにを言っているか、わかってないでしょうっ!?」 七海の声に、ようやく空が七海に視線を移した。自分の腕を掴む七海の手に、もう一方の手を重ねる。 そして、呟いた。 「もしくは･･･七海ちゃん。オレが過去にすごいひどいことをしていて、そして昔だけではなくまたなにかをしようとしていたら、そのときは七海ちゃんがオレを止めてよ。二度と出られないところに閉じ込めてもいいし、この体を傷つけても切り裂いてもいいからさ。オレから話を聞きだしたんだから、それが七海ちゃんの責任だろ。――いや、オレから話を聞きだしたからだけじゃなくて、もともと七海ちゃんがガキんときのオレを巻き込んだんだよな。七海ちゃんがオレの人生を狂わせたっていう自覚があるなら、ちゃんとオレの人生の終止符も打つべきだろ？」 故意に偽悪的な言い回しを使って、空が七海に言った。少なからず七海を傷つけるとわかっていても、七海に断る理由を与えないために。 空の言葉に、七海は傷ついたりしなかった。ただ少年の腕をつかんでいた手を離し、その体を優しく抱きしめただけだった。 「七海ちゃん」 ベッド脇に立っていた七海から突然抱きしめられて、空は驚く。 不意に包まれたそのぬくもりにどきりとした。 頬に触れる七海のやわらかい髪の感触。 「羽柴くんを、壊れさせたりなんかしません。もう二度と傷つけないと誓ったんです。羽柴くんにどんなことが起こっても、私があなたを必ず守ります」 「･･･七海ちゃんはそんなこと言うけど、未来にはどんなことがあるかわかんねーじゃん。あの扉の中に入ったら、オレは間違いなく壊れるっていうんだぜ？ オレが壊れたら七海ちゃんの手に負えないかも知れねーじゃん。いいよ、細かいこと考えないで、オレのことさっさと処分しろよ。オレになにをしたってオレ自身が望んだことなんだから、七海ちゃんの罪にはしねえからさ」 「手に負えないことなんてないですよ。羽柴くんのことで、そんなふうに投げ出すことはけしてありえません。･･･そうですね、もし私の力が及ばなくて羽柴くんをまたつらい目に合わせてしまったら、そのときは私が責任を取りますよ。羽柴くんが『壊れてしまっても』、なにか罪を負ったとしても、処分だなんてことではなく別の形で、私があなたの人生に対して責任を取りますから」 「別の、形で･･･？」 七海に向けて純粋な疑問を口にした空の唇に、優しく、甘く。そっと押し当てるようにして七海の唇が触れた。 「――」 目を見開いた空の頬を、七海の手が優しくなぞっていく。ゆっくりとその頬を辿り、凪一つない海のように穏やかな瞳で見つめながら。 「これは『誓約』です。羽柴くんにどんなことが起きたとしても、私があなたの一生を守っていきます。私に、守らせてくださいね。羽柴くんが言ったとおり私があなたを巻き込んでしまったのだから、すべての責任を果たします。･･･いえ、正確には違いますね。責任とか役目とかそんな気負ったものではなくて――私に、あなたの一生をください。私自身がただ強欲に、あなたをほしいだけです」 「･･･っ･･･なにそれ。オレの一生をほしいって、そんなのまるで･･･っ」 「もし羽柴くんが心配しているとおり、羽柴くんが過去にも、そしてこれからも罪を犯すのだとしたら、ちゃんと一生閉じ込めてあげますよ。私という檻の中に閉じ込めて、永遠にどこにも出さないようにしてあげます。だからさらに罪を重ねてしまうなんてことを恐れなくていいから、安心してくださいね？」 耳から心に響いてくる声は、こちらを陶然とさせるほどの優しさと甘さに満ちていて。空はそれに捕らわれそうになる自分を叱咤した。 ここで、甘えてしまったら。ここでその声に耳を傾けてしまったら、あとで現実に気づかされたとき、ショックを受けるのは自分なのだ。 七海はただ、自分が過去に犯してしまった罪を清算するためだけにこんなことを言い出しているに過ぎないのに。 「つ、償いなんていらねーよっ。そんなの、ただの七海ちゃんの自己満足なだけだろ。自分の人生を犠牲にして、それでとりあえず罪滅ぼししてやっているっていうだけの･･･っ」 七海の腕が怖くなって、空はその腕の中から自由を取り戻そうと七海の体を押し返しはじめた。このまま心を預けてしまったら、二度とそこから離れられなくなりそうな気がした。たとえ七海にそのつもりがなかったとしても、それで傷ついてしまってもなお、執着しそうになってしまうほどに。 しかし、七海の腕の力は緩まなかった。 「償いなんかじゃありませんよ。言ったでしょう、役目とか責任とか罪滅ぼしとか、そんな義務感や罪悪感だけで言っているわけではないんです。あなたを、守らせてください羽柴くん。もしあなたが『壊れた』としても、そのときは私の一生であなたを――癒させてください」 少年の抵抗が不意に止まった。 「･･･オレが、壊れたら･･･？」 「もしも万が一そういうことになったら、私があなたを癒してあげます。壊れてしまっても、いつかあなたがもとのように笑えるようになるまで、ずっとそばにいて、私が治癒してあげますよ」 たとえなにかを知り、あるいはなにかが起こって自分の自我が崩壊しても。 そばに、七海がいて。 ･･････一生。 「だからっ、そんな面倒なこと考えなくていいって言っただろっ!? そんなの七海ちゃんの重荷になるだけじゃねえかよ。もしそんな日がきたら、オレが七海ちゃんの重荷でしかなくなる。そんなのは冗談じゃねえだろ!? オレ、七海ちゃんをそんな目に合わせたくなんかねーよっ！」 「重荷？ ･･･どうして？ 好きな人のそばにずっといられることの、どこがつらいんですか？」 はっきりとそう告げて、七海は少年の体からいくらか身を引いた。そしてその手をとり、自分の口元に引き寄せた。 引き寄せた少年の手の甲に、恭しくくちづけを落とす。 「･･････っ」 「羽柴くんに、勇気をあげますよ。心の中の扉が開いたとしても壊れない勇気を。でもそれが効かなかったときには、私自身が最後の保障となります。私があなたを癒しますから、羽柴くんはなにも恐れなくていいんですよ。あんなふうに夢を見て怯えたりしないで、震えたりしないで。私に、すべてを預けて安心していいんですから」 七海がベッドに腰を下ろし、再び空の体を抱きしめた。空は、もう七海の腕に逆らわなかった。なんの抵抗も感じずに、子供のときのように身をゆだねる。もうこの腕から逃げなくてもいいのだ。この腕の心地よさに意識を捕らわれて、この腕なしでは生きられなくなるかもしれないと、怖がることはないのだ。 七海の指が緩やかに少年の青い髪を梳きはじめた。幾度も幾度も優しくといていく。 「･･･それって、まるで安心して壊れてもいいって言われているみてえだ･･･」 七海に頭を預けながら、かすかに笑いを含めて空がぽつんと呟いた。それに対する七海の返答も、笑みを含んでいた。 「羽柴くんがつらい目にあうのはいやだと言ったでしょう。でも私は名医ですからね、羽柴くんのどんな心の傷も治してみせますよ」 「自分で名医なんて言う人間ほど、信用できねーよ」 「そうですか？ 私は羽柴くんに関してだけは、昔からずっと名医だったでしょう？ なかなか泣きやめなかった羽柴くんの涙を、ぴたりと抑えてあげたこともありましたよね」 「あれは全然関係ねえだろっ。･･･むしろ七海ちゃん、すっげぇヤブじゃねえの？ 患者を病気にさせようとする医者なんて聞いたこともねーよ」 いくらか頬を染めて、空が言った。 そう、まさに。七海は医者のくせに自分を不治の病にさせたのだ。とてつもなく甘い、恋という名の病に。 少年の言葉の意味を察して、七海が微笑みを浮かべる。 「大丈夫です。ちゃんと、そちらの処方箋も用意してありますよ。その病気のほうも私が仕掛けただけの責任を取って、一生かけて診てあげますからね」 ＥＮＤ |