もしも･･･ 「こっちはするつもりじゃなかったが、今ので気が変わった。もう少し付き合ってもらおうか･･･」 腹に溜まってたオレの精液を指で拭うと、水都はオレのズボンをさらに引き下げ、信じられないようなトコを触ってきた。 「なっ･･･!? テメー！ そんなトコ触んなっ!!」 オレはびっくりして今まで以上に暴れ出した。男同士でドコ使うかは知ってたけど、まさか自分がそこまでされるなんてゴメンだ！ 「もう遅い･･･あんな顔を見せつけておいて今さら終われるか」 ちっくしょ〜！ オレがどんな顔したっつーんだよ!? 水都に脚を持ち上げられながらも、オレは必死でカラダを捩った。 クッソ〜！ せめて手が使えれば・・・。 だが、オレがどんなにカラダを動かしても、頑丈に縛られたネクタイはほどけなかった。いっそネクタイを引きちぎってでもと思うのに、生地の糸一本切れた感じはなかった。 「そんなに暴れるな。あざになって二、三日消えなくなるぞ。人に見られたら困るのはおまえだろう」 そう言いながら、水都がオレのその部分を指でこする。だがオレには嫌悪感が増し、ざわざわと鳥肌がたっただけだった。 「気色悪いことするんじゃねーよっ!!」 「ちっ。やはり固いな」 人の言葉を無視して、水都が舌打ちする。 「仕方がない。また、こっちを濡らしてもらおうか」 そう言って、水都は再びオレ自身に手をかけた。 「よせ･･･っ！」 本能的にオレの体が引きつる。水都の手に触れられただけで、さっきの感覚が戻ってくるような気がした。自分を追いつめている相手がこいつだと知りながらも、自分から快感を追ってしまったさっきの感覚が。 「ほう･･･さすがに一度だけじゃ物足りなかったようだな」 「・・・っ・・・・」 水都の手に包まれると、それだけでオレ自身がびくりと反応したのが自分でもわかった。一度達ったカラダなのに、人に触れられただけでまたそんなふうに反応するなんて。 自分で自分のカラダに見切りをつけたくなる。 「まだまだおまえのここは吐き出したいようだぞ？ 相当たまっていたみたいだな」 オレを指で弄びつつ、せせら笑うように水都が言った。――ち、くしょ・・・。 そのあとでやつはオレの耳元に口を寄せ、少し声をひそめた。 「それとも･･･私にこうされてそんなに気持ちいいのか・・・？」 「違うっ！」 「ふ。どうだかな。それはおまえのここに聞いてみるのが一番だろうな」 「・・・・・・っ」 水都の指が複雑な動きでオレに絡んでくる。片方の手で扱きつつ、もう一方の手がオレの先端を刺激する。再び固くなりはじめたオレの先端のくびれの部分を、水都の指がなぞるように行き来した。ときに引っかくように刺激し、ときに撫でるようにかき回されると、その緩急の動きにオレはますます耐えられなくなる。 「さっきは簡単に達かせてやったんだ、今度はじっくりと焦らしてやるから楽しみにしていろ･･･。ここをたくさん濡らしてよくほぐしておかないと、きついのはおまえだからな」 「･･･くっ･･･」 オレの先端を嬲っていた水都の指が再び後ろに回る。さっきと同じように軽く触れているのに、前を刺激されているせいか今度は気持ち悪さが薄れていた。むしろ逆に、かすかに甘い感覚が走る。 なんで･･･っ!? そんなとこ触られて、すっげー気持ちわりぃはずなのに、なんで、オレ･･･。 「おまえは気色悪いと言ったがな、慣れてしまえば前よりここの方がイイんだぞ？ ここに突っ込まれるとな、しゃぶられる何倍もの快感が得られるんだ。くくく･･･ちゃんと、私が実地で教えてやるさ」 水都の片手がオレを丹念に刺激してくる。水都の言葉どおり、その動きは単にオレを追い上げるためのものではなかった。じっとりと、ときにもどかしいほどにゆっくりとした動きとなる。 そうして後ろに回った指先は、ときおりオレの前からあふれる露を指ですくい取り、それを後ろに塗りこめるように動いた。幾度もその動きを繰り返したのち、指が浅く侵入してくる。 「･･･あっ･･･そんなこと、よせ･･･っ！」 「どうだ、両方同時にかわいがられると、すごくイイだろう？」 水都の声に反論したかったが、オレは声を抑えるのがやっとだった。後ろをやわやわとほぐされたうえで侵入してきた水都の指は、オレに異物感とともに別の感覚を与えた。 冗談じゃねぇよっ。後ろを刺激されて感じるなんて･･･それも水都なんかに。 オレの中は悔しさでいっぱいだったが、それでもその悔しさはオレを追い上げる甘い感覚を散らしてはくれなかった。 「いい顔だ･･･おまえは本当にいい顔をするな」 「･･････っ」 水都がオレの前も後ろもその指先で犯していく。本気でいやだと思っているのに、オレのカラダは水都の指に過敏に反応した。 両腕を封じられているオレには一度口から離してしまったシャツを再び口に含むことはできず、懸命に唇を噛んで声を出すまいとするのが精一杯だった。 そんなオレを見て水都がまた残忍な笑みを浮かべた。そうして、水都の唇がオレの唇に合わさってくる。閉じた唇をこじ開けるように水都の舌でなめられるが、オレは頑なに拒否した。 「･･･痛っ･･･」 後ろを犯していた指が乱暴にかき回された。オレはその突然の動きに驚いて声を上げる。オレの口がほんのわずか開いたのを見逃さずに、水都の舌がすぐに侵入してきた。オレの口腔内を好きなように動き回る。 その間も、オレを責める水都の指は止まることがなかった。前を巧みに扱き、後ろは徐々に指が深く入ってくる。そして中で指を動かされると、これまでまったく知ることのなかった感覚がさらに強くなっていくのがわかった。 「ん･･･よせ･･･ふっ･･･」 水都の強引なくちづけの合間にオレの声がこぼれる。それはオレ自身が耳をふさぎたいほどの甘い声だった。絶対に声は出したくないのに、そう思っていたはずなのに、口を閉じようとする意思はカラダの中を走る快感の前に流されていく。またオレの意思を知っていて、故意に水都がそれを阻んでいるように思えた。 長い長いくちづけと、耳から侵入するいやらしく響く水音が、オレの理性を麻痺させていく。 「あ･･･やめ、ろよ･･･っ、みな･･･と･･･ん･･･っ」 ようやく水都の唇から解放されたとき、オレのカラダはこれまで一度もなったことがないほどおかしくさせられて、口からオレの意思とは関係なしに熱い吐息と乱れた声がこぼれた。 「も･･･よせって･･･いい加減離、せよ･･･っ」 「馬鹿を言うな。こんないい感じになっている状態でやめられるわけないだろう。ようやくおまえのここもやわらかくなってきたじゃないか。自分一人で楽しんでないで、そろそろ私に付き合ってもらおうか」 オレの中に入った水都の指がオレのカラダの状態を知らせるかのように、さらに複雑に動いた。オレのカラダが反射的にビクビクッと痙攣する。 「やあ･･･っ。･･･ん･･･っ、あっ･･･ゆ、指抜け･･･っ、早く、ぬ、抜いて･･･っ」 「そう言いながら強く締めつけているのはおまえの方だろう？ そんなにイイのか？ ここをかわいがられるのが。まるで私の指を引きちぎらんばかりじゃないか」 「違･･･っ、あっ･･･あっ･･･ふぅん･･･っ･･･」 「くくく･･･そうだな、おまえのここももう指なんかじゃ物足りないようだな。待ってろ、もっといい思いをさせてやる」 そう言った水都の指がオレの中から抜かれ、前を扱いていた手も離れた。それがなにを意味するのかすぐにわかったが、このわずかな隙にどうにか逃げ出そうとする意思などオレの中にはすでになかった。このままじゃ後戻りできないくらいにやばいことになるとわかっていたが、水都の指淫によって熱くさせられたオレのカラダは、ときおり甘くうずく他は弛緩しきっていて、指一本動かせない状態だった。 オレの目の前で水都が自分のズボンのファスナーに手をかけ、水都自身を取り出す。すでに張りつめているそれを、オレはなかば朦朧とした意識で見つめた。他人のなんかじっくりと観察することなどないし、勿論見てて楽しいものではない。なのにそのときのオレはなぜかそれから目を背けることができなかった。 水都が改めてオレの脚を持ち上げた。水都の肩に両足とも乗せられ、すべてを水都の目にさらすという恥ずかしい格好をさせられる。 「･･･あっ･･･」 「ここにな･･･もっといいものを挿れてやるぞ羽柴。指よりももっと気持ちのいいものだ。一度知ったらやめられなくなるくらいのな」 「んっ･･･」 水都の指が、ほんの少しのあいだ放っておかれていたそこをするりと撫でた。それだけで新たな快感が生み出される。しかし水都はもうそこに指を入れてこなかった。 ――その代わりに。 「･･･っ!! あっ、よせっ･･･やめろ、水都･･･っ！」 水都のそれがあたったとき、オレは本能的に身を竦ませていた。だが水都は口元に笑みを浮かべながら、遠慮なく侵入してきた。オレの両脇をつかんでカラダを固定し、ぐうんと押し進められる。オレのことをまったく無視したそのやり方に、オレは生理的な涙さえ浮かべた。 「･･･っ･･･」 オレの中に、水都のそれがある。 オレはそれをいやでも感じさせられた。 張りつめた水都自身が、オレを、完全に征服したのだ。 「どうだ？ 同じ男に貫かれた気分は。なかなか悪いもんじゃないだろう？ なにせおまえのカラダは、最初から男をくわえ込むようにできているんだからな」 オレの体にのしかかるようにして、水都がオレの肌を舐めはじめた。胸の突起を舌でつつかれると、オレの中がかすかに甘くうずく。 「･･･あっ･･･」 「おまえの‘中’、すごくいいぞ？ とろとろなのにしまりがよくて･･･。こんなにいやらしいカラダを、おまえは制服の下に隠していたんだな。本性はこんなに淫乱なのに、素知らぬふりをして」 水都はオレに、水都に刺し貫かれているという感覚を思い知らせるためか、挿れたまま動こうとはしなかった。ただ言葉でオレを追いつめていくだけだ。 水都がときおり息を吐くたび、わずかに身じろぎをするたびにオレの中の敏感な部分がこすられ、たまらないほどの快感を生み出す。その快感を自分で追いたくなる衝動をオレは懸命にこらえた。 「羽柴、初めて知る男の味はどうだ？ 最高によくて、クセになりそうだろう？」 「･･････っ」 水都が腰を使いはじめた。ゆっくりと、オレの中をかき回すようにわずかにそれを動かす。 「･･･んっ･･･あっ･･･ああっ･･･」 「そうだ、いい声でないてみろ、羽柴。おまえがどんなによがっているか、自分にも聞かせてみるんだな」 「･･･あ･･･はっ･･･ふっ･･･ん･･･」 オレはいやいやをするように首を振ったが、それでも口からこぼれだす声を抑えることはできなかった。 水都の動きが徐々に激しさを増していく。水都のそれが抜き差しを繰り返しているのが、オレにもよくわかった。勢いよく貫かれるたびにオレのそこがきゅっと収縮して、オレの中の快感をさらに高めた。 水都は、オレも知らないオレの一番敏感な部分をすでに把握しているかのようだった。 ときおりそこばかりを攻め立てたかと思うと、わずかに速度をゆるめて別の場所にはぐらかす。 さきほどの指淫のようにオレの理性をぐずぐずに溶かすような焦らした水都のやり方に、オレは逆らうすべもなく堕ちていった。 「あっ･･･あんっ･･･。は･･･っ」 耳から聞こえるオレの声と水都の忍び笑い、そしてオレと水都の交わりの濡れた音が、オレの心をさらに煽っていく。心のどこかでは冗談じゃないという気持ちも残っているのに、もう止まらなかった。 自分でも、水都自身をもっと奥まで取り込むように腰を振る。そうすると水都は故意にしばらく触れていなかったオレに手をかけ、前も扱きはじめた。それによりいっそうオレの中で強い快感が生み出される。 もう早くイきたくてたまらなかった。誰になにをされているかとか、自分がどんな姿であるかとかもうどうでもよかった。 ただ、自分の中の快感をどうにかしたかった。 「ふ。すごく気持ちよさそうだな･･･。あさましく脚を開いて腰を振って。おまえは男に貫かれているときが一番いい顔をするんだな」 「――っ」 「そろそろまた限界がきたようだな。いいだろう、達ってみろ。私もそろそろおまえの中に放ってみたいしな。――自分の中に出されるという感覚をたっぷり味わうといい。もっとも、これから毎日のように経験する感覚だがな」 「･･･ふっ･･･んっ･･･あ、ああっ･･･――っ!!!」 水都の言葉がなにを意味しているのか考える余裕もなく、オレは、この日二度目の吐精を促された。さほど間をおかずオレの中の水都も痙攣し、オレの中に放ったのがわかった。 男に――大嫌いな水都なんかに挿れられて達したなんて、オレのプライドが悲鳴をあげる。 だが、そのプライドをさらに粉々に踏みにじられて、オレのカラダにいやというほど水都への従属と抱かれることの快感を教えこまされるのは、これからだった――。 終 |