勝手に考えてみた七海×空エンディングです。 　いえ･･･放課後保健室に通いつめ、七海ちゃんに空の一日自由権をプレゼントしたにも関わらず、最後の日の放課後、保健室に行くこともできずにアイスを食べに行かれてしまったので、「広夢くんが来なかったら、保健室に行けたかもしれないじゃない〜」、という思いのままに書き散らしたものです。 　本当にエンディングがないのは知っていますが、もう一回くらい保健室に行きたかったのに･･･。（そうでなくても、Ｕ先生とかＣくんに邪魔されて二人きりでいられなかったときもあったんだからさ･･･） 　すきしょ３後初めて書いたもの、ということになります。 　遅筆なはずの私が一気に書き上げたというのは･･･やはり愛ですかね？ 　ともかくアイスを食べに行く四人のＥＤの手前、広夢が誘いに来る前のシーンからつながっています。（放課後、廊下にて。一日自由権は七海のものとなってます）

〜安心できる場所〜 　さーて、どこに行こうかな。 　やっぱ七海ちゃんのトコに･･･うん、放課後は七海ちゃんのトコにいかないと落ちつかねえもんな！ 「七海ちゃん、お茶〜」 「いらっしゃい、羽柴くん」 　オレが保健室に行くと、すぐに七海ちゃんが奥から出てきて、オレに笑いかけてくれた。 　はぁ〜。やっぱ七海ちゃんトコはなごむよな〜。 「今、お茶を淹れますね」 「うん」 　オレはすぐさま机のそばにあった椅子に座り込んで、七海ちゃんが淹れてくれるお茶を待った。 　待ちながら、ぼーっとお茶を淹れる七海ちゃんの後ろ姿とか、その手つきとか眺めて、なんだかさらに幸せな心地になった。日常の幸せって、こういうのを言うんだよな。 「･･･羽柴くんは、放課後、よくここに遊びに来てくれますね」 「ンだよ。オレが暇人だって言いたいのかよ、七海ちゃん･･･」 　そりゃ確かに暇してるんだけどさ。 「そんなつもりはありませんよ。ただ、貴重な放課後をこんなところで過ごしてしまっていいのかなって思うだけです。もっと楽しいところはいくらでもあるんじゃないですか？」 「んー･･･そりゃあ楽しいところはいくらだってあるかもしんねえけどさ、でも、オレが一番和めるのってここなんだよな。だからついつい足を運んじまうんだ」 　そう、七海ちゃんのお茶と菓子っていうのもかなり魅力的だけど、やっぱこの部屋の雰囲気とか、七海ちゃんと話せるっていうのがイイんだよな。七海ちゃんがいないときといるときじゃ、この部屋の雰囲気が全然違うし。 「ふふ。私はしばらく羽柴くんに避けられると思っていましたけどね」 「？　なんでだよ、七海ちゃん。オレが七海ちゃんのこと避けるわけねーだろ？」 　オレは、オレの目の前で急須を傾けている七海ちゃんに言った。 　なんで七海ちゃん、いきなりそんなこと言うんだ？ 　すると七海ちゃんはオレに湯飲みを渡してくれながら、ちょっと悪戯っぽい顔になった。 「だって、この前おもいきり羽柴くんをこき使ってしまいましたからね」 「あ〜、あれな〜」 　オレは大げさに声を上げた。 　そうそう、オレ、この前七海ちゃんに放課後から消灯までこき使われたんだよな。あの一日自由権のせいで。 　確かにあれはほんとにハードだったよな。七海ちゃん、その仕事今やんなくてもいいんじゃねえ？ってなのまでオレに押しつけてきたしさ。あの出来事は七海ちゃんの本性を見たって感じだったぜ･･･。 「でもなあ、ほんとにマジできつかったんだけどさ、ほんのちょびっとは、楽しかったぜオレ」 　そうそう。ほんの少しだけどな。 　でも七海ちゃんとずっと一緒にわいわいやってて、カラダはきつかったけど心はむしろ楽だったっていうかさ。 　七海ちゃんの手伝いをすること自体はいやじゃねえんだよ。その内容が問題だっただけで･･･。 「そうですか？」 「だからこうして七海ちゃんトコに来てんだろ。もうさ、習慣になってるんだよな、ここに来ることがさ。･･･あんまりオレが来てたら七海ちゃんの迷惑になるかな？」 　そういやあ七海ちゃんてすっげえ忙しいんだもんな。だったら放課後のだれもいない時間に、いろいろと片付けたいことだってあるよな。オレがくると七海ちゃんいつも相手してくれるけど、それだけ無駄な時間を使わせてるってことだよな･･･。 　あー･･･やっぱオレ、七海ちゃんの邪魔し過ぎかも。いまさらだけど、ちっとは控えるべきだよな。 　改めてそんなことを自覚したオレに、七海ちゃんは��そんなことないですよ�≠ﾆ言って笑ってくれた。 「羽柴くんが放課後ここに来てくれることを、実は私もひそかに楽しみにしているんですよ」 「ホントに？」 「本当ですよ。羽柴くんが放課後元気にここに来てくれると、私も安心するんです。朝と、放課後と。それはもう私の一日の予定の中に組み込まれているんですよ？」 「ホントにホントに!?　七海ちゃんまた自分だけで我慢しちゃってるんじゃねえの？」 「いいえ。この顔が無理をしているように見えますか？」 　七海ちゃんがそう言って自分の顔を指差した。 　それはとても楽しくて嬉しそうな微笑みで、オレは七海ちゃんは別に我慢しているわけじゃないと結論づけた。 　それとともに、なんだかくすぐったい心地になる。 　へへ･･･あーよかった。オレ、またここに遊びに来てもいいんだよなっ。 「納得しましたか？」 「ああ。なんだかすげえ安心した。オレ、またここに来るからな！」 「どうぞ。いつでも好きなときに来てくださいね」 　七海ちゃんの笑顔を見て安心したオレは、七海ちゃんが淹れてくれたお茶にまだ口をつけていないことに気がついた。手の中の湯飲みのあたたかさをしみじみと感じながら、一口すする。 　あ〜、やっぱこの時間てホント貴重だよなあ。オレ、これはなくせねえって思うし。 「いただきものの柏餅もあるんですよ。よかったら食べてくださいね」 「サンキュ、七海ちゃん」 　オレは七海ちゃんが出してくれた柏餅を手に取った。 　放課後、こんなふうに七海ちゃんとまったり過ごすことって、けっこうオレの中で優先順位高いと思う。 　それも、日に日にオレの中でこの時間の割合が膨らんできているのは･･･オレの、気のせいかな。 　それに、前より七海ちゃんのことを目で追っていることが増えているような気がするのも･･･気のせい、かな？ 　七海ちゃんと目が合うことが増えてるのも･･････。 　ま、今は余計なことを考えないで、七海ちゃんとの時間を満喫するに限るよなっ。 「ん、七海ちゃん。これ、あんまり甘くねえのな。すっげえ食べやすい」 「そうですか？　よかった。まだまだいっぱいありますから、おかわりしてくださいね」 「ちょうど腹減ってたんだよな〜。ありがたくいただきマス！」 　オレが少しちゃらけたように言うと、七海ちゃんが軽く吹き出した。オレもそれにつられてしまい、オレたちはしばらく二人で笑いあった。 　ほんと、いつまでもこんな時間が続くといいよな。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『七海ちゃんのそばが、オレをすごく安心させるんだ――』 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ＥＮＤ