Ｒｅｖｅｎｇｅ ３ 「･･････なにしてんだよ、兄ちゃん･･･」 着ていたシャツのボタンをすべてはずされ、ほとんど上半身を裸にさせられた時点でようやく空の意識が戻った。それでも真一朗は飄々と空に答える。 「んー？ どうせなら空も脱いだほうが気持ちいいだろ？」 「オレに触るなって言っただろ!?」 「別に空の服に触っているだけで、空には触ってねえだろ？ それに、オレ一人だけこんなにいやらしく脱がせておいて、自分は脱がないっていうのはフェアじゃないだろ？」 「いやらしく脱がせてってなんだよ!? 大体兄ちゃんがヤるときは、いつもそうじゃん！」 「それは学校だったり、ちょっと時間がないときだったりするからだろ？ でも今日はしばらく誰も帰ってこねえし、それに･･･」 にやりと笑った真一朗の口が、空の耳元に寄せられた。空に自分の吐息の中の熱を分け与えるようにして囁く。 〝それに、肌と肌が触れるのって気持ちがいいだろ？〟 「･･････」 「なんならオレが他の部分も手伝ってやるぜ？ 兄ちゃん、空クンに早く抱いてほしいから、こっちからも積極的に脱がしたいな～なんてなｖ」 そう言って、真一朗の手が今度は空の腰に伸びた。空は慌てて身を引く。 「自分で脱ぐからいいよ、兄ちゃんは触んなよっ。･･･そうだよな、そろそろオレだって兄ちゃんに挿れたいし、兄ちゃんも脱ぐんならオレも脱ぐ･･･」 本当に最後までする気がある空の発言はそれはそれとして受け止め、真一朗は空に別のことを促した。 「ちゃんとパンツも脱ぐんだぜ、空ｖ」 「だから、そう言っている兄ちゃんこそ、いつもそうしてないだろっ。自分がしねえことを人に押しつけんなよっ」 「でも肌が触れるのって気持ちがいいだろ？ 空もすっきりさっぱり脱いだほうが、すんげえ気持ちよくなれると思うけどな？」 真一朗の言葉に空はしばらく押し黙る。肌と肌のふれあいが気持ちいいのはわかる･･･確かに、相手の体温をじかに感じることはけして悪いことではないのだから。 しかしだからといって、ここで真一朗の言葉に乗じて脱いでしまうのはしゃくだという気持ちも空の中にはあった。 「･･･別に兄ちゃんに見せるために脱ぐわけじゃないんだからな！ オレが気持ちよくなるためなんだからな！」 「はいはいｖ」 自分の前置きに対する真一朗の返事を不満に思いつつも、空は服を脱ぎはじめた。真一朗が途中まで脱がせていたシャツの袖から手を抜いて床に落とす。本当はしゃくに思いながらもズボンまでは脱ごうとしていたのだが、今まで服に包まれていた肌が空気に触れると、空は気を変えてズボンには触れずに真一朗に抱きついた。触れ合った肌のぬくもりが、確かにとても気持ちよく感じる。 「･･･空、下はどうしたんだよ」 「兄ちゃんに指図される言われなんかねーよ。いいんだよ、そっちはおいおい脱ぐんだから。それより･･･続き、したい･･･」 直接触れる真一朗の体温が気持ちよくて、空はその感触を味わうように肌と肌を触れ合わせながら真一朗への愛撫を再開する。その頬にくちづけて、唇を重ねて、汗ばみはじめた真一朗の体を手でなぞっていく。 真一朗としては空が脱がないことに不満があったのだが、自分に触れたくて気持ちが急いている空を見ているうちに、そのことはどうでもいいように思えた。 いつもとは違って積極的な少年。ただこちらが大人のずるさと劣情でもって一方的に穢しているわけではなく、今は求める気持ちが重なり合っているのがわかる。 互いに、ほしくて。 快感よりも、ただひたすらに相手を望んでいて。 膝に乗り上げた空のそこが充分に感応しているのは、真一朗にもよくわかった。相手を求める気持ちの象徴。真一朗としては少年のお許しが出たら、ちゃんと引き出してそこをかわいがってやりたかった。 「ん、兄ちゃん･･･も、オレ、兄ちゃんのことがほしい･･･」 熱に浮かされたようにそう言って、空は真一朗のズボンをすべて脱がし終えると、足をソファに乗せた。 性急にズボンの前を寛げ、やはり自分が挿れる気である空のことを、真一朗がからかう。 「なんだよ、空。そろそろ限界が近いんだ？ 自分は触られてねえくせに、早くないか？」 「いいんだよっ。すぐに兄ちゃんだってイかせてやるよ」 「ま、それはありがたいんだけどな。でもよ空。オレ、このまんま入れられるのはちっと勘弁な。だってまだココ、ならしてねえだろ？」 「え？ あっ」 体の熱さに陶然している空には、避ける隙もなかった。真一朗の手が、するりと空の背後に回ったのだ。 ズボン越しにではなく、真一朗の指が直接少年の背後の割れ目を辿った。 「兄ちゃんは触っちゃだめだって言っただろっ！ あ、だ、だから･･･っ･･･」 慣れた動きで、真一朗の指がそこに辿りつく。指先で軽く撫でられただけで、空の体に甘い痺れが走った。 「オレがやるときはいつも空のココ、ちゃんとほぐしてから挿れてやってるだろ？ いくら余裕がなくなりかけていてもそれぐらいはやってくれよ」 「わ・・・わかった。ちゃんとするから兄ちゃん指離せよっ。もうわかったから･･･！」 両手を突っぱね、どうにか真一朗から逃れようとする。後ろを撫でられているだけで、ますます空の昂ぶりが増しているのはそれを目にしている真一朗にもわかった。自分を押しやろうとするその手がわずかな快感さえも拾い震えていることが、真一朗の気持ちを煽った。本当にこのまま空にされてもそれはそれだったのだが、こんなふうにかわいい反応を見せられると、ついついもっと、と思ってしまう。 真一朗は指先にさらに力を込めた。 「ここのほぐし方覚えてるか、空？ こんなふうにまずは指でならしていくんだぜ」 「わかってるよっ」 指先でその周囲をくすぐり、ときおりその中心を力を込めて押す。または背後から指を前にずらしていった。下着の奥に手を突っ込み、からかうように空の勃ち上がっているものの裏側をなぞると、空の唇から甘い吐息がこぼれた。空の手から徐々に力が抜けはじめる。 「それから先走りの露とか唾液とかでちゃんと濡らしてな、こんなふうにさ」 「･････っ」 空自身の先端からあふれて伝い流れている雫を真一朗の指先が掬い取り、それが空の秘所に塗りこまれた。その間も巧みな指使いで空の官能をくすぐっていく。 「でもってこう････少しずつ指を入れていくわけだ」 「わ、かったからは、な・・・・んっ･･･あ、に、にいちゃ･･･っ」 空は熱い吐息をこぼしながら、真一朗のことをずるいと思う。自分に触らないと約束したのに。ずっとおとなしくしていたくせに、間際になってこんなふうに追いつめてくるなんて。 今日はこれまでまともに触られていなかっただけに、空としてはぐずぐずに蕩けそうになる自分の体を止められなかった。本当なら真一朗を突き放して形勢を整えたいところなのだが、そうはできないまま体が煽られていく。 「指を入れたら少しずつほぐしながら、こうして指で探って相手のいいところを探すんだぜ？ ちゃんと、相手の反応を見逃さないようにな」 「･･･や、兄ちゃん離せって言ってるだろ。こんなのずる･･･っふっ･･･」 真一朗を突き放そうと突っぱねていた腕からはもう完全に力が抜け、空は真一朗の胸に頭を預ける形となっていた。真一朗がそんな空の耳元に息を吹き込みながら甘い囁きを繰り返す。そうして真一朗の指は、知り尽くした空の弱いところを責めはじめた。微妙な緩急をつけて空の快感を翻弄していく。 「あっ･･･ああっ･･･も、だめだって言･･･っ」 「おいおい空。オレが痛い思いをしたくねえから、教えてやっているだけだろ？ ありがたがれよな」 「冗、だ･･･んっ･･･はぁっ･･･」 今日の空がいつにも増して感じているのは真一朗の目にも明らかだった。おそらく、普段どおりのパターンでは引き出せなかった感じ方だろう。 当然空の前もとうに硬く張り詰めていた。 真一朗はもう片方の手を空の前にも忍ばせる。 「あっ･･･やぁっ･･･」 途端にびくびくっと少年の体が跳ねた。 「すげぇ･･･いつもより感じてんじゃん空。全然、触られていなかったのにな？ もしかしてこうされるのをずっと待ってたのか？」 「違うっ。今日はオレ、が･･･っ」 「オレが･･･なんだっけ？」 低く笑いながら真一朗が問いかける。その間も、真一朗の指は感度の高い空の体をますます蕩けさせていく。後ろも前も、真一朗に思うさま責められていた。 「・・・・・んっ･･･」 「 「あっ････」 そう言った真一朗が空からさっさと両手を離した。今まで間断なく与えられていた快感が唐突に消失する。体の内側にある、じんわりとした熱を残したまま。 「ほらな。ちゃんともう空から離してやっただろ？」 真一朗は両手を掲げてみせた。空から手を離したという証しのその動作を空は呆然と見上げる。真一朗の口元に浮かぶ、意地の悪い笑み。 「で、空はどうしたいんだっけな？」 「･･････っ」 本当は、今日は自分が挿れる番なのだ。そのために心の準備をして、真一朗に触れてきたのだから。 今だってけして挿れたい気持ちがないわけではないけれど、でも。 挿れたことで吐精感は満足できたとしても、うずいている後ろは放って置かれたままになるのだ。 前でイきたいけれど、でも後ろももっと強い快感を欲している。そんなふうに慣らされた体を、空は恨めしく思った。 「オレは、空の希望にあわせてやるけどな？」 男の意地としてはここであくまでも自分がやるほうを選びたかった。けれど体がもう、別のものを求めている 空は悔しさを振り払いつつも、自分の願いを口にした。 「あ、もうオレ、に、ちゃんが･･･ほしい･･･っ」 「へえ？ あんだけ頑張ってたのに気が変わったんだ？」 「う･･･うるせーよっ。兄ちゃんのここだって、そろそろ限界に近いんだろっ!?」 空がずっと触れることを忘れていた真一朗のそこに手を置いてかみつくように言うと、真一朗からは軽いキスが返ってきた。 「まあな。なんせ空クン、今日は本当に頑張ってくれたからなあ。オレもそろそろ本格的に空のことが欲しいしな。ま、そういうわけで空、あともうひとふんばりな」 「へ？ うわっ」 真一朗の胸に預けていた上半身をぺりっとはがされたかと思うと、空の体が難なく一回転した。真一朗に足を引っ張られ、空の頭が床にぶつかりそうになる。手をついて床との衝突は防いだものの、気がついたとき、空はソファに座っている真一朗に腰を突き出し、床に落ちた手と上半身で体を支えている、なかば逆立ちのような体勢になっていた。 「いきなりなにすんだよっ」 「なにって、ナニするんだろ？ さ、ちゃっちゃっとこの邪魔なのもとっちまおうぜ♪」 真一朗がてきぱきと空のズボンと下着を脱がす。そうしてすべてを脱がし終えると、真一朗はそこに指を這わせた。 「ん～絶景だな空ｖ やっぱ兄ちゃん、空のここもすんげえ好きだな♪」 「うひゃっ。ちょ、ちょっと兄ちゃんっ！」 「もう充分ほぐしたから一気にいっても大丈夫だとは思うが･･･もうちっと湿らせておくか」 指で撫でられる感覚のあとには、すぐに濡れた熱いものが空の後ろのすぼまりに触れてきた。同時に真一朗の手に前も再び握りこまれ、空は無理な体勢ということも忘れてたちまち快感に襲われた。 「･･･んんっ･･･あっ･･･兄ちゃん･･･っ」 本格的に激しくなってきた真一朗の技巧に、空はあまりの快感にともすると意識を流されそうになった。 常になく淫らされているのは、自分でもよくわかった。こんな羞恥心を煽るだけのような格好を強いられていることさえも、快感につながる。 「さて、そろそろオレもマジで限界かな空･･･。ちょっと連続で、たっぷりといかせてもらうぜ。加減できそうもねえから、先に謝っとくな？」 「･･･ン、んなの、今言われたって･･･っ･･･はっ、あ･･･ああっ･･･ 腰を持ち上げられたと思ったら、衝撃が一気にきた。重力も重なって、いつも以上に深く貫かれている感覚に陥る。 真一朗はいつもより手荒に空の体を扱ったが、それを受け入れる空の体に否やはなかった。引き寄せられて体を激しく揺らされるように犯されても、眩暈がするくらいの快感に襲われこそすれ、拒否感や抵抗感はなかった。むしろ自らも真一朗をより深く受け止めたくて、夢中で体を動かす。 「ふっ･･･ぅん･･･に、にいちゃ･･･あ･･･も、もっと･･･っ」 「もっと･･･？ もっとなんだよ、空」 「あ、もっと欲し･･･もっと深く、何度･･･も･･･。もっとかきまぜて･･･め、ちゃめちゃにしてほし、い･･･。はぁ･･･っ」 「今日の空はすっげぇ貪欲だな。オレのことを逃がさねえように、すんごくきつくしぼってくるじゃねえかよ。やっぱ空の場合、こっちも使わねえともったいねぇよな･･･。 さらに真一朗の腰が空に強く押しつけられる。 「ふぅ、ん･･･っ、ぁっ･･･んんっ･･･」 空はいっそう甘い声で喘ぎ、床にしがみつきながら真一朗から与えられる激しい快感に溺れていった。 「････････････」 裸のまま、空は床にあぐらをかいていた。ソファに横になっている真一朗には背を向け、おもいきりむくれた顔をして床に視線を落としている。 せっかく今日こそは自分が！と思っていたのに、結局はいつもどおり真一朗に思う存分されてしまったのだ。空としては自分の不覚も許せなかったし、勿論真一朗のことも恨んでいた。 「空～。いい加減機嫌直せよ。いいだろ、お互いに気持ちいい思いをしたんだからさ。空だって、すっげぇ腰使ってたじゃ･･･痛っ」 「うるせーよ、兄ちゃん！」 後ろから首に伸びてきた手を思いきりつねってから乱暴に振りほどく。そのあとで空はキッとした目で後ろを振り返ると、真一朗の上に乗り上げるようにしてその両肩をソファに押さえ込んだ。 「ちきしょう、今度こそぜってぇぜってぇオレがやってやるんだからな！ 兄ちゃんのことヒイヒイ喘がせてやるんだからなっ！」 「ヒイヒイって空･･･」 「そうさ、兄ちゃんのことを今度はオレが泣かせてやるんだからな！」 真一朗を見つめたまま宣言をしてみせる。真一朗としては、そんなふうにムキになられるとますます空のことがかわいく思えるのだが、当然空には黙っていた。 真一朗は肩を押さえ込まれたまま空のほうに両手を伸ばした。そのむくれ顔の頬に触れると、自分の頭を持ち上げて空の唇を奪う。 「くくく。期待してるぜ空」 「･･･本気にしてないだろ、兄ちゃんっ」 「いやいや、空の情熱はよくわかってるさ。そんときはオレがリードしてやるよ」 「リードなんかいらねえよ。オレが主導権を握るんだからな！ それに･･･今度のときは、兄ちゃんの手、絶対縛ってやる･･･」 昏い決意を秘めた空の言葉に、真一朗がにやりと笑ってみせた。 「それは倒錯的でなかなかおいしいシチュエーションだよな、空。きっと、そうしている空だってまたいつも以上に感じるんだろうな。縛られているオレを空から積極的に求めてくれるわけだ･･･？ 縛っているからこそ、空ももどかしくなってますます自分から激しく･･･。いやあ～兄ちゃん本当に楽しみだな♪」 「だ、誰も兄ちゃんを喜ばせるためにンなことやるわけじゃねえよ！！ 兄ちゃんのためのプレイの一つなんかじゃねえんだからなっ！！」 一人で悦にはいって妄想しはじめた真一朗に、空が顔を真っ赤にしながら大声で叫んだ。 ＥＮＤ |