（大学生同棲設定智勇編）


「…勇気、勇気」
「……ん…」
「そろそろ起きないと。いくら午後からの講義だけだって遅刻するぞ」
「…んん…」
「単位落とせない、大事な講義なんだろ」
「う……なんか頭痛い…」
「まあ、昨日あれだけはしゃげばな」
「それに……トモのせいで起き上がれない……」
「それは俺のせいじゃないだろ。勇気がたっぷりサービスしてくれたからだろ。勇気が体使ってお祝いしてくれたんだから、俺も全力でそれに応えないとな」
「それにしたって平日なんだから加減してくれたって……」
「だから、俺は一日待てば休みになるんだし、今夜でもいいし、明日でもいいって言っただろ。それを勇気が昨日の前祝いからちゃんとやるんだ〜ってはしゃいだんだろ」
「だって！　日付が変わってすぐにお祝いしたかったんだ。俺にとって一番大事なトモが生まれてきた日なんだから、日付が変わった瞬間から明日にかわるギリギリまで、一日めーいっぱいちゃんと祝いたかったんだ。……一緒に暮らしてから初めて迎えるトモの誕生日だろ」
「一日めーいっぱいの中に誰かさんの大事な講義があって離れ離れになるけどな」
「そ、それはっ」
「冗談だって。いいから早く起きろよ。メシも作ってあるから」
「トモの誕生日にトモにご飯作ってもらうって……」
「気にするなよ。昨日は勇気が作ってくれたし、それに俺も、一緒に暮らしてから初めて迎える誕生日に、抱いたあとの勇気を起こすっていう幸せを満喫しているからさ」
「ト、トモっ」
「勇気。今日はお互いの講義のあと、待ち合わせて一緒に夕飯を食べるんだろ？　それからどうするって？」
「トモと一緒に歩きたいところがあって……それから最後にはまたここに、俺たちの部屋に帰ってきて改めてお祝い、だよ。トモが生まれてきてくれたことで俺が感じている幸せを、もっともっとトモに伝えたいんだ。――俺の家族であるトモに」
「勇気……。これはこの家に来た最初の日にも思ったけど、別々の部屋に帰ることなく、一日中二人でずっと一緒にいられるのっていいよな。誕生日だからこそ余計にそう思う」
「勿論このあとの俺の誕生日だってそうだし、これから先ずっとずっとそうだよ。今日も、そしてこれからもトモの家族としてお祝いする。――トモ、誕生日おめでとう！」